離乳食

まずは手作りの「THE 離乳食」!“義務としての料理”を手放して変わったこと【わたしのサステナブルvol.1】

買い物にエコバッグを持参したり、環境に優しい商品を選んだりすることは、今や当たり前の習慣になりつつあります。でも、「サステナブル」という考え方は、実はもっと広がりを持っています。日々の暮らしや仕事、人間関係まで、無理なく心地よく続けられるライフスタイルもその一部ではないでしょうか。

私自身、都内で小学校6年生と保育園年少の子どもを育てながら、女性ファッション誌の編集者&ライターとして多忙な日々を送っています。人物インタビューやジェンダー、教育、ファッションなど幅広いテーマを取材する中で、仕事と育児の両立に悩むことも少なくありません。そんな日々の中で、ある気づきを得ました。

それは、「毎日の料理が、いつの間にか“やらなければならないこと”になっていた」ということ。特に第一子のときは、離乳食もすべて手作りしなければと頑張りすぎていました。でも、第二子を育てる中で、『それは本当に必要なのか?』と考えるようになりました。

そうして手放したのは、“義務としての料理”。特に離乳食に対する考え方が変わったことで、暮らしにゆとりが生まれました。


“義務としての料理”私が手放したかったもの

ついこの前、年が明けたと思ったのに、気が付いたら紅白歌合戦を見ていて、歳を重ねるごとに、時の流れが加速度的に早まっているのを感じます。日々、仕事に育児にとバタバタしていると1日があっという間。大切な人との時間を捻出するためにも、できるだけやりたくないことは手放していきたいと思うようになりました。


私は12歳と4歳児の母ですが、手放したいと思うその筆頭は“義務としての料理”です。まだ第一子のときは頑張りすぎ、子どもには3食手作り、もちろん離乳食も手作りで睡眠時間をすり減らしながらの育児。母乳にもこだわっていたため、当然夜は寝られず。日中は頭にモヤがかかったように常に眠く、今思えば情緒的にも少し不安定だったかもしれません。世の中的にも、徐々に変わっていく兆しがあったとはいえ三歳児神話も根強い中で、「ママがすべてを担って当然」と自分を縛っていました。


しかし、8歳差をおいて第二子を出産して状況は一変。単純に手が回らなくなったことや、数年で「日本のママは頑張りすぎなのでは」と母親規範を疑う流れが強まり、次々に覚醒していく母たちの流れに私も連なりました。書き手としてジェンダーに関しての記事をたくさん担当していくと、「どうして私ばかり離乳食の心配をしているんだろう」と、シンプルに思い至ったのです。


そこからは急転回(笑)。第二子ではただの一度もTHE・離乳食は作りませんでした。ベビーグッズの店には、8年前から格段に増えたレトルト離乳食、そして幼児食もかなり豊富に。市販の離乳食や幼児食は衛生面でも栄養的にも、ズボラ母が作るよりもよほど安心して与えることができ、何よりも時間的な余裕がかなり生まれたのです。結果、子どもと向き合う時間が増えました。8年前よりも保育園が増えていたためにすんなり0歳で入園も叶い、「頑張ってこそ母」という呪いを解放して睡眠時間を確保し、メンタルも落ち着いた状態で仕事も育児も取り組めるようになりました。


離乳食の次に手放したかったものは…

離乳食の次は、大人の食事も何を手放せるかを画策。いろいろ調べていると、第一子の時にはなかった、夕食の作り置きを配達してくれるサービスが始まっており、さっそく利用を開始。


週に一度(我が家は月曜日に指定)3日分の夕食を届けてもらうと、週の最初の3日は夕食作りをサボれます。これは本当に画期的で、白いご飯を炊いておけば、そして作れるときにお味噌汁をまとめて作っておけば、帰宅後本当に10分で子どもたちに夕食を出すことができるように。


スーパーに寄る必要もないので、おそらく毎日一時間弱は時短。体力的な余裕が生まれただけでなく、帰宅後の子どもたちの「お腹減った」イライラや、何よりも仕事を終えた後の第二ラウンドを戦わなくてもよくなったという安堵感は、非常に大きいものでした。手放してから気づく、夕食作りという重圧!


ちなみに、ご飯は夜か朝に炊いたら「柴田慶信商店」のおひつに入れます。そうすると、夜に炊いておけば朝のご飯はちょうどよく水分が抜けており、お弁当にもおにぎりにも。まとめて炊いて、1日で食べ切るようにしています。お手入れは使用後に水で濡らし、クレンザーで磨いた後に熱湯をまわしかけるだけ。保温機能も使わないので、炊飯器は手放し、ル・クルーゼなどの鍋で炊いています。炊飯器を洗うより手間がないし、狭い我が家には所定の置き場所を一つ減らせたことがありがたい。


余計なものを手放したら…

作るものといえば味噌汁くらいになると、味噌や調味料はいいものを取り寄せてみようとか、器はお気に入りのものにしようなど(とはいえ食洗機に入れられるもの限定!)、こだわりポイントも楽しめるようになりました。


ちなみに作り置きがなくなる週2日は何をするかといえば、仕事も疲れてくる木曜日はいいお肉を買って焼いてサラダと食べたり、ちょっと遅くなっても気にならない週末は外食をしたり。「ホットクック」も活用し、カレーなどをまとめて作ることも。その分、週末に料理をするのが少し楽しくなり、いつの間にか「義務としての料理嫌い、からの料理嫌い」が治り、料理との距離がちょっと近づいたような気がしています。


独身で働いている女子は「自炊してない、ほとんど外食!」と言っても「そうだよね」と納得されるのに、働く母が同じセリフを言うとなぜギョッとされるのでしょう。よくよく考えたら、独身で働いていた頃よりも今の私は格段に時間の余裕がありません。そこに、料理が趣味でもないのに「母たるもの、料理は必ずしなければならない」と自分を縛る必要はないのでは…


自分を縛っていたものを手放してできた時間的余裕で、子どもたちとおしゃべりしたり、絵本を読み聞かせできたりするのが、私にとっては優先度の高いこと。世間の規範から自由になろうよと、私の仕事としても発信していきたいと思っています。


有馬美穂

ライター・エディター。2004年早稲田大学第一文学部を卒業。『VERY』等、さまざまな雑誌媒体で女性のライフスタイル、健康、教育、ジェンダー、ファッションについての取材執筆・構成を行う。