

仕事や育児、子育てなど日々こなさなければいけない「タスク」が多すぎて1日が慌ただしく過ぎていくだけ……と感じている人も少なくないのでは? そしてつい周りと比べてしまって「ちゃんとできていない自分はダメなのかな?」と罪悪感を持ってしまうことも……そんないつも一生懸命な人に向けて「こうすればラクにできるよ!」という毎日の生活で実践できるちょっとした小ネタを伝授します。「ていねいじゃない生活」、上等!
「先生、最近どうにも疲労がうまく抜けないというか……更年期でしょうかねえ」
「まるで未病?」のような、だるさがずっと続いていたので、私はかかりつけの婦人科医に相談をしていました。症状はだるさのみで、発熱や痛みといった疾患はありません。私の症状を一通り聞き、適正な処方箋を出すという医師。さらに続けて
「ストレスはたまっていないでしょうか? 解消できています?」
と質問がありました。ストレスは年中たまっていて、解消する時間もないと答えました。すると医師は意外なストレス解消方法を私にアドバイスしてきたのです。
家事をゲーム感覚に
「神林さんを長らく診察していますが、ストレスをためやすい傾向にあります。ただ解消をする時間がないとおっしゃるのなら、家事に真剣に取り組んでみてください」
と話す医師。意外な発言に私は呆気にとられていました。
「家事ですか? 毎日何かしらやってはいますけど」
「目標を持って家事をしてみてください。例えば風呂掃除をしようと思ったら、取り組む前に『ここと、ここのカビ取りだけはしっかりやる!』とか、最終的なゴールを決めて、集中してみてください。ゲームをクリアする感覚で家事をするということですね」
「気をつけることはなんでしょう」
「集中を切らさないことですね」
確かに医師は長年お世話になっているおかげで、仕事のハードさも性格もよく知っています。それでも家事でストレス解消とは? なんだか狐につままれたような感覚で帰宅。でもものは試しだとさっそく風呂掃除をしてみることにしました。
家事分担よりも達成感を優先に
いざ掃除をしようと道具を並べて気づいたのですが、いつもは風呂掃除を完全に“惰性”と“義務感”で行っていました。掃除をしなきゃ、きれいにしなきゃ、カビは生えないようにしなきゃ。なにも考えずにダラダラと掃除の工程を“こなす”だけだったのです。
ただ医師からアドバイスを受けた私の意識は違いました。今日はいつも通りに洗うことも含めて、以下のような目標を立てます。
1排水溝を小さなブラシできれいにする
2壁もスポンジで洗う
3ラストにカビ防止スプレーを撒く
すると「まずはバスルームを濡らすところから始めよう」と、自然と脳内に風呂掃除の工程が浮かんできます。よく料理をするときに「煮込み料理をしながら、フライパンで肉を焼こう」など同時調理を思いつきますが、似たような感覚でした。
医師が言っていた“集中”も忘れません。5分間くらいぐっと集中をして、次の工程に移っていきます。これを繰り返して最終的にカビ防止スプレーを噴きかけたときには、脳内がすっきりしていたのです。そして最初に立てた目標をクリアした達成感も感じられました。今まで嫌々と風呂掃除をしていた自分はなんだったのだろうと、猛省です……。
窓拭き、ベランダ掃除などプラスアルファの掃除も効果的
この日を境に掃除には“目標意識”を必ず取り入れるようになりました。ただそれだけでは飽きてしまうことを危惧して、毎週末、ひとつだけプラスアルファの掃除を計画しています。例えばキッチンの収納スペースの掃除、整頓。電子レンジなど調理器具の手入れ。テレビ台のホコリ取り、靴の裏を拭く……といった、ふだん手が届かないところを掃除します。このときも、集中! 集中!
料理をするときもそうです。1ヶ月1回くらい、まとめて冷凍保存できるおかずを作るのですが、そのときもメニューを決めて、ひとつひとつの動作を丁寧に、集中して行う。それまでは「とにかくやらなきゃ」「少しでも早く片付けよう!」という意識が先行して、つい義務感が生じていました。が、少し視座をずらしただけで、ストレスを感じることもありません。
むしろ一連の“集中する家事”のおかげで、ストレス防止に役立っています。自分がイライラしてきたと思ったら、家事に集中。これで自宅も快適になりますし、一石二鳥です。日頃から「少しでも楽したい」と思っている私にはピッタリのやり方でした。今後も続けていきたい、生活習慣です。
※医師のアドバイス含めて個人の体験になります。不調などを感じたら医師など専門家の診断を仰ぎましょう。